構造規模:木造+鉄筋コンクリート造3階建
敷地面積:―㎡
延床面積:2643.17㎡
設計期間:2003年5月~2003年11月
施工期間:2004年3月~2005年1月
旧大佐町(現在は新見市)の町民センターです。多目的ホールや図書室、会議室、和室、調理実習室、診察室などいろいろな用途が入っています。大佐町は木の産地なので、ぜひ木造で実現したいとの町の強い要望があり、大断面集成材を用いた、木造の町民センターになりました。
敷地が不整形なので、交流棟とホール棟を三角形のエントランスホールがつなぐことで、無理のない平面計画を実現しました。エントランスを入ると広いエントランスホールと和室(交流室)があり、左手に進むと吹き抜けのある広い図書室や会議室があります。斜めの天井に集成材の上り梁がダイナミックに並ぶ木にあふれた空間です。吹き抜けの上には廊下が見え、調理実習室や診察室が並んでいます。通常の町民センターでは、よく使われる表のスペースと月に数度しか使われない裏のスペースができてしまいますが、両者を吹き抜けでつなぐことで、活気のない裏のスペースができないよう工夫しました。図書館の本棚や家具も東京の藤江和子アトリエにデザインを依頼することで、親しみやすいデザインになるよう工夫しています。
多目的ホールは、鉄筋コンクリート造としなければいけないので、別棟とし、エントランスホールから渡り廊下でアプローチします。構造は鉄筋コンクリートですが、床と壁に桧の板を積極的に使い、木の暖かみのあるホールとなっています。ユニークなのは桧の緞帳(どんちょう)で、全国初なのではないでしょうか。音響反射板も兼ねていて、ピアノやクラシックの演奏の際には下すと反響がよくなります。座席は可動席とすることで、収納すると平らな床になり、バザーなど多目的に使えることで、少しでも皆さんに使用してもらえるよう工夫しました。2階席に上がるスロープも、ギャラリーとしても使用できるようにするなど、できるだけ多用途な空間にすることで、田舎の公共施設でもできるだけ使われるよう心掛けました。
外観は「奥備中の町並みにあった景観を」との要望だったので、瓦屋根や漆喰壁、木の格子など自然素材を多く使い、軒の高さを低く抑えることで、既存の町並みのスケールにも合う落ち着いた外観としました。ホール棟にはコンクリート打放しを一部用いることで、現代的なモダンな外観となるようにも工夫しています。
人口が減少する社会の中で、おおさの人々が末永く集う施設になればと願っています。